EMIトータル試験システム MR2300
当社のスペクトラムアナライザ技術、電波暗箱技術およびアンテナ技術を結集した統合システム
- 1. MR2300とは
- 2. 何ができるか
- 2.1. 2種類のEMI試験
- 2.2. ノイズ発生源の特定
- 3. 特長
- 3.1. リーズナブルなEMIトータル試験システム
- 3.2. 自社開発の超小型・広帯域アンテナ
- 3.3. 大/小4種類の電波暗箱
- 3.4. システム全体のキャリブレーション
- 3.5. 標準規格をプリセット
- 3.6. PC画面の測定結果をそのまま読み取るだけ
- 3.7. EMI測定波形グラフ作成ツール
- 3.8. 標準規格に準拠
- 4. 全体システムの説明
- 4.1. ①の接続-放射性妨害ノイズ試験
- 4.2. ②の接続-伝導性妨害ノイズ試験
- 4.3. ③の接続-妨害ノイズ発生源の特定
- 5. 関連製品
- 5.1. EMI用スペクトラムアナライザ
- 5.2. その他
- 6. 関連資料
- 6.1. 実演動画
- 6.2. 製品カタログ
- 6.3. 技術資料
MR2300とは
一般的にEMIの電波暗室を使用した正式試験では多くの待ち時間と費用が発生します。問題対策を施して正式試験を行うということを何回も繰り返していては、さらに長い時間と費用がかかってしまいます。
MR2300システムは、正式試験の回数を1ないし2回と少なくするよう、事前に問題点をつぶしておく-Precompliance-ために使用することを目的としています。
Precompliance用EMI試験システムは以前からありましたが、電波暗箱まで含めたトータルシステムは、MR2300が世界初です。TV電波や情報無線通信機器の電波が飛び交う昨今の環境下では、電波暗箱なしでのEMI試験は不可能です。
何ができるか
2種類のEMI試験
- 放射性妨害ノイズ試験
電波暗箱と広帯域アンテナを使って、30MHz~1GHzの帯域で測定することができます。1GHz以上はオプションになります。 - 伝導性妨害ノイズ試験
LISN(ラインインピーダンス安定化回路網)を使って、150kHz~30MHzの帯域で測定することができます。
ノイズ発生源の特定
- 伝導性妨害ノイズの測定
磁界プローブMMP500を使って電源ラインの伝導性妨害ノイズを簡易的に測定することができます。また、指向性が強いため、一般的な磁界プローブと同様にノイズの発生源を特定することができます。
特長
MR2300は当社のスペクトラムアナライザ技術、電波暗箱技術およびアンテナ技術を結集した統合システムです。
リーズナブルなEMIトータル試験システム
電波暗箱、アンテナ、EMI用スペクトラムアナライザ、低雑音アンプ、LISN、PCソフトウェアまですべてを自社製品で構築できリーズナブルです。
さらに、問題点解決ツールとして磁界プローブ(オプション)が用意されています。
自社開発の超小型・広帯域アンテナ
578(W)×401(H)×250(D)mmと超小型で、30MHz~1GHzと広帯域のアンテナを自社開発しました。アンテナの小型化により電波暗箱の小型化も実現できました。
大/小4種類の電波暗箱
電波暗箱/シールドボックス 大型タイプ MY5310
EMI試験に最適な電波暗箱。 小型EUT向けに直径220mm/耐荷重10kgのターンテーブルを標準装備。
電波暗箱/シールドボックス MY5310S
シールド性能をキープし、分割・組み立てを可能にした電波暗箱。
人員用エレベーターでの搬入、狭いスペースへの設置に最適。
電波暗箱/シールドボックス MY5310SU
EMI試験に最適な電波暗箱。 3分割して搬入ができるので、オフィスビル等への搬入が簡便。
電波暗箱/シールドボックス MY5410
超大型のEMI試験に最適な電波暗箱。大型EUT向けに直径756mm/耐荷重100kgのターンテーブルを標準装備。
システム全体のキャリブレーション
広帯域アンテナのアンテナゲインやLISNの減衰量、あるいは3m法への換算等システム全体がスペクトラムアナライザとPCソフトウェアで補正されます。ユーザはPC画面の測定結果をそのまま読み取るだけです。
標準規格をプリセット
PCソフトウェアにてCISPR11(classA/B、group1)、CISPR22(classA/B)、EN55011(classA/B、group1)、EN55022(classA/B)、VCCI(classA/B)、FCC part15 subportB(classA/B)のプリセットを用意しています。
PC画面の測定結果をそのまま読み取るだけ
アンテナゲイン、LISNの減衰量、3m法への換算等、システム全体がMSA438E/538E/558EとPCソフトウェアで補正されます。
ユーザはPC画面の測定結果をそのまま読み取るだけです。
EMI測定用PCソフトウェア MAS430/530
スペクトラムアナライザの操作やEMI規格に不慣れであっても簡単に使用可能なソフトウェア。
EMI測定波形グラフ作成ツール
EMI測定ソフトウェアMAS430(T)・530(T)で保存した波形データをグラフ化し比較するためのフリーツールです。(Excelになります。)
EMI測定波形グラフ作成ツールの使い方をyoutubeにて公開しています。
標準規格に準拠
CISPR11、CISPR22、EN55011、EN55022、VCCI(classA/B)、FCC part15に準拠しています。
全体システムの説明
上記全体システム図の中の①、②または③をEMI用スペクトラムアナライザMSA438E/538E/558Eの「RF INPUT」に接続することによって、放射性妨害ノイズ試験、伝導性妨害ノイズ試験または妨害ノイズの発生源特定のためのデバッグを行うことができます。
①の接続-放射性妨害ノイズ試験
付属品のN(P-P)同軸ケーブルで電波暗箱MY5310/S/SU、MY5410とMSA438E/538E/558Eとを接続することによって、30MHz~1GHzの放射性妨害ノイズ試験を行います。
EUT(被試験装置)が空中に放射した妨害ノイズを広帯域アンテナMAN101/102で受け、それをMSA438E/538E/558Eへ送ります。MSA438E/538E/558EではMAN101/102のゲイン補正を行い、電界強度演算(dBμV/m)を行います。演算結果はUSBケーブルMI400通信でパソコンへ転送され、3m法への換算を行ってパソコン画面上にEMI標準規格で定められたリミットラインと共に表示されます。
②の接続-伝導性妨害ノイズ試験
付属品のN(J)/BNC(P)同軸変換アダプタをLISN(MPW201B)の「RF OUT」端子に接続し、N(P-P)同軸ケーブルでMSA438E/538E/558Eへ接続することによって、150kHz~30MHzの伝導性妨害ノイズ試験を行います。
EUTが電源ラインへ放出した妨害ノイズをLISNを介してMSA438E/538E/558Eへ送ります。MSA438E/538E/558EではLISNのアッテネータ補正を行い、dBμVの単位へ変換します。データはUSBケーブルMI400通信でパソコンへ転送され、パソコン画面上にEMI標準規格で定められたリミットラインと共に表示されます。
③の接続-妨害ノイズ発生源の特定
磁界プローブ MMP500 を使って電源ラインの伝導性妨害ノイズを簡易的に測定することができます。
また、指向性が強いため、一般的な磁界プローブと同様にノイズの発生源を特定することができます。
電源ラインノイズ監視設備
電気的に非接触で測定が出来る弊社磁界プローブの特性を生かし、スペクトラムアナライザとロギングソフトを組合せた監視設備で各種二次側電源ラインのノイズ監視を行います。
関連製品
EMI用スペクトラムアナライザ
スペクトラムアナライザ MSA438E
EMI測定機能搭載モデル
■測定周波数:50kHz~3.3GHz
シグナルアナライザ MSA538E
EMI測定機能搭載モデル
■測定周波数:20kHz~3.3GHz
シグナルアナライザ MSA558E
EMI測定機能搭載モデル
■測定周波数:20kHz~8.5GHz
その他
ラインインピーダンス安定化回路網(LISN) MPW201B
限られたスペースで簡単に試験環境を構築が可能。LISNを電源ラインに挿入することによって、EUTからみた電源ラインのインピーダンスを一定にする。
電動ターンテーブル(工場オプション) MT106
MY5310・5310S・5310SU・5410用電動ターンテーブル。
低雑音アンプ MAP301/302
放射ノイズ測定に最適。
磁界プローブ MMP500
9kHzの低周波までの伝導性妨害ノイズ(雑音端子電圧)測定が可能。パワーエレクトロニクス機器の測定に最適。
MMP500とシグナルアナライザMSA538E/MSA558Eとでこの伝導性妨害ノイズを手軽に測定することができます。
関連資料
実演動画
動画をご希望の方には、CD版を無料で差し上げます。
(主要製品カタログ、技術資料付き)
製品カタログ
技術資料
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