シグナルアナライザMSA500 シリーズやETC / DSRC 電界強度測定システムME9200 を車載して電界強度を測定す る場合、測定位置を車速パルスを用いて特定することができます。
ここでは車速パルスを測定位置に換算する方法について解説します。
車速パルス
車速パルスは、自動車の車軸の回転に比例したパルス信号で、車両の移動距離や速度を算出するために用いられます。この信号はエンジンコントロールユニットやオプションコネクターから取り出すことができます。実際の接続に関しては各カーディーラーにお問い合わせください。
JIS規格ではスピードメータのワイヤの回転数を1km走行あたり637回転としています。自動車のメーカーによってワイヤ一回転当たりのパルス数が決められていて、4パルス又は2パルスが主流になっています。タイヤの直径を624mmとするとタイヤ一回転当たりはそれぞれ5パルスと2.5パルスとなります。マイクロニクスのソフトウェアの車速パルス設定ではこのタイヤ一回転当たりのパルス数と実際のタイヤ直径を入力するようになっています。タイヤ直径の値を調整することにより実際の走行に合った数値に合わせこむことが可能です。
車速パルスカウンタ
シグナルアナライザMSA500 は外部トリガ入力でカウンタを作動させることができます。
このカウンタの制御や計数値の読み出しは外部PC からUSB コマンドにより行います。
下記のコマンドが用意されています。
コマンドヘッダ | パラメータ | 説明 |
---|---|---|
CTR_CLR | 0,1 | 外部トリガ信号カウンタクリア (0:ノーマル,1:クリア) |
CTR_ENB | 0,1 | 外部トリガ信号カウンタイネーブル (0:ディスエーブル,1:イネーブル) |
CTR_OUT | 無し | 外部トリガ信号カウンタ値送信要求(32bit) |
測定地点Aと測定地点Bとの間の距離は以下のようにして求めることができます。
$$ Dab=π=(Pb-Pa)Td/Pr $$但し、
$$ \begin{align} Dab&:\text{測定地点Aと測定地点Bの間の距離(m)}\\ Pa&:\text{測定地点Aでのパルスカウンタの値}\\ Pb&:\text{測定地点Bでのパルスカウンタの値}\\ Td&:\text{タイヤ直径(m)}\\ Pr&:\text{タイヤ一回転当たりのパルス教} \end{align} $$走行速度と車速パルスの周波数との関係
走行速度を$Vr(km/h)$とすると、その時の車速パルスの周波数$Fp$は以下のようになります。
$$ Fp=Vr/3.6×Pr/(πTd) $$表にすると以下のようになります。
車速パルス $$Fp[Hz]$$
時速(km/h) | 20 | 40 | 60 | 80 | 100 |
---|---|---|---|---|---|
Fp(Pr=2.5) | 7.1 | 14.2 | 21.3 | 28.3 | 35.4 |
Fp(Pr=5) | 14.2 | 28.3 | 42.5 | 56.6 | 70.8 |
但し、$$Td=0.624[m]$$
MSA500では外部トリガ端子を車速パルス用に用いる関係上、接続ケーブル内でノイズ対策を行っています。車内の信号はパルス状の雑音が多く混在するためこの対策は必須となります。
車速パルスの出力インピーダンスが5kΩの場合、ノイズ対策用ローパスフィルタのカットオフ周波数は約1.8kHzとなります。MSA500の外部トリガ入力端子の入力インピーダンスは10kΩなので、分圧比は約1/5となります。

参考資料
車速信号–Wikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/ 車速信号
車速信号配線一覧表: https://pivotjp.com/download/pdf/wiring/speed-signal.pdf
製品ピックアップ
シグナルアナライザ MSA500シリーズ
高速フーリエ変換(FFT)によるリアルタイム方式と、従来の掃引方式の2方式を搭載。両方向のそれぞれの長所を利用可能。
ETC/ITSスポット電界強度測定システム

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