このたびは、弊社測定システム ME9200, ME9500 をご検討いただき、ありがとうございます。 誠に恐れ入りますが、以下ご留意いただき、ご承諾の上お選び願います。

電波の測定は、固体の長さ・重さを測るほどの再現性・精度は確保できません。

  • 測るたびに数値(数dB以上)がバラつくのが一般的です。測定結果を評価するとき、バラつき・変動を考慮する必要があります。
  • 測定器においては、測定を複数回行って平均化する等の機能を持つものがあります。
  • 測定回数が多ければバラつきが抑えられたように見えますが、急激な変動が観察できなくなります。また、測定時間が長くなります。
  • 測定器には、上記のようなトレードオフを含むことが多いので、測定対象・環境を考慮して実効的な設定を行うことが肝要です。

変調方式によって適した電界強度等の測り方が異なります。

  • 電波に情報を乗せるために変調を行いますが、変調方式によって適した電界強度等の測り方が異なります。
  • 例えば周波数変調の場合は測定対象となる周波数が変動するため、測定中心周波数の近傍のデータも測定・評価対象となりますし、振幅変調の場合は振幅自体が変化するため、相応の処理が必要となります。

バースト周期・デューティを考慮したデータ処理が必要となります。

  • バースト波についてはバースト周期・デューティを考慮したデータ処理が必要となります。
  • 変調によっては、比較的広い帯域についての測定・適切なデータ処理が必要になります。
  • 変調方式により、システム内では最大値抽出、平均化、近傍周波数のデータ反映などを行う場合があります。

お客様自身が考察し、補正や統計処理を行う必要があります。

  • ME9200、ME9500の測定システムは、障害物の影響がないものとして校正されています。
  • 一方、受信アンテナの設置位置や測定環境は、お客様の使用方法により決定されます。
  • その影響は様々で、障害物等により電波の減衰や、反射によるノイズ増加については、測定されたデータについて、お客様自身が考察し、補正や統計処理を行う必要があります。例えば、次の要素によって、アンテナに届く電波が減衰します。

象条件による減衰

天候等の条件を測定条件に加えるか、悪条件の測定を避ける等の対策が必要です。

送信源と受信アンテナの距離による減衰

自由空間損失量は、下記の式によって求められます。

$$損失 = 20 LOG (4 π r / λ) = 20 LOG (4 π r f / c)$$ (※π=円周率、r=距離、λ=波長、f=周波数、c=光速)

特に送信源と受信アンテナが近い状況(例えばトンネル内のLCXアンテナの測定等)では、受信アンテナの高さや方向によって、測定結果に大きな差異が生じます。また、周波数の低い電波については、近傍と遠方で測定結果に際が出るため、送信源と受信アンテナが近いトンネル内の測定時は、測定されたデータ値の取り扱いには注意が必要です。

送信源、受信アンテナの指向性不適による減衰

送信・受信アンテナの指向性と設置条件により、測定結果に差異が生じます。

ただし、送信源と受信アンテナの指向性が十分には一致しないような運用が一般的な場合もあり、測定値が最大となるような測定が、実用的運用と乖離する可能性もあります。

測定結果を検討・評価する際は、測定条件を十分に考慮する必要があります。

ガラス、FRP等の透過による減衰

受信アンテナを車内に設置する場合、ガラスを通過した電波を測定することになります。

減衰量は、ガラスの材質や用途、および周波数によって異なります。また、受信アンテナを車外に設置する際にFRP等のケースやカウルに格納する際、減衰が生じます。

車両に設置が完了したら、その減衰量を見積もるか、実測しておき、測定結果に反映する必要があります

受信アンテナを測定車両内部に配置したときのシールド効果による減衰

受信アンテナを車内に設置する場合、金属である車両全体がシールドボックスとして振舞います。 送信源と受信アンテナが、金属部分で遮断されずに直線で結ばれる場合においては、概ねガラス通過による損失を主として考慮します。

一方、送信源が車両上方、受信アンテナが車内にある場合、ルーフにて電波伝搬が大きく妨げられます。 このような場合、損失を見積・または実測定を行い、測定結果に反映する必要があります。

金属類のパーツ(ルームミラー等)、およびルーフ形状による損失

受信アンテナを、車内のダッシュボード上に配置する場合、ガラス通過による損失に加えて、ウィンドウ付近の障害物についても考慮が必要です。例えば、ルームミラー、ウィンドウ上の光学処理・電波通過処理・雨滴センサ・ETCアンテナ等は測定結果に影響を及ぼします。 ME9200 システムは、アンテナが進行方向に向かって横向きに配置されるため、アンテナがダッシュボード上に配置された場合、フロントウィンドウ上方の円弧上ルーフの影響により、左右に比べて中央部の損失が大きくなることがあります。

アンテナと金属類部分(ルーフ等)の距離、位置関係

受信アンテナをルーフ上に設定する場合は、ルーフ(金属板)とアンテナの距離に注意する必要があります。金属板は、波長を考慮した設置によっては指向性の改善等に用いるケースもありますが、一般的には測定に影響があり、特に金属部分~アンテナの距離が小さい場合、その影響は大きくなります。また、トンネル内など、送信アンテナの近くで測定を行う場合は、送信アンテナと受信アンテナの位置関係の変化によって生じる影響が大きくなります。減衰以外にも、測定結果に影響を及ぼす要素があります。

反射等によるノイズフロアの上昇

トンネル内等、測定領域で電波の反射量が大きい環境では、オープンサイトに比べて反射等による周波数成分が発生しやすく、結果としてノイズフロアが上がります。

スぺクトラムアナライザのスパン設定によるノイズフロアの上昇

スぺクトラムアナライザの特性として、スパン値が10倍になるとノイズレベルが10dB上がります。

スパン値を大きくすると、広い帯域の信号を一度に捉えることができる一方で、ノイズレベルが上がってしまいます。測定対象の周波数帯を絞り込むことができる場合は、スパン値を小さく設定することでノイズを抑えることができます。

ケーブル特性、コネクタ類の締め付け不良・締め付けトルク不足による損失

信号ケーブルは、測定対象の周波数に合わせて選択することが必要です。高い周波数帯を測定する場合は、対象となる周波数帯における減衰が小さいケーブルを選択して下さい。

コネクタを取り付けるときは、機器に対してケーブルが回らないよう注意しながら、コネクタの回転部分のみを回して下さい。SMA コネクタのように締め付けトルクが指定されている場合は、専用のトルクレンチを使って締め付けて下さい。

上記の選択・作業が適切に行われない場合、ケーブルのコネクタ部分が摩耗したり、損失が大きくなる場合があります。

製品紹介

ETC/ITSスポット電界強度測定システム ME9200

ETC/ITSスポットの電界強度分布を運用波またはCWで短時間で測定し、 電界強度グラフやマップ図を作成。

多波電界強度自動測定システム ME9500

電波サービスエリアの調査や再送信システムの保守に最適なシステム。
AMラジオ・FMラジオ・業務無線・VICS等の電界強度を高速測定が可能。

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