シグナルアナライザMSA500シリーズやAM/FM電測ソフトウェアMAS9501を車載して電界強度を測定する場合、アンテナをどこに設置するかで電界強度の値が変わってきます。

ここではAM/FM波の電界強度を最適に測定するには車内のどこにアンテナを設置すべきかを検証します。

AM/FMラジオ波の電界強度測定

下図のようなシステムで アンテナの設置場所を ワゴン車の車内で変えて AM /FM ラジオ波の電界強度を測 定する実験を行いました。

ループアンテナ、バイコニカルアンテナ、プリアンプ、シグナルアナライザ

対象とした放送局と周波数は以下のようになります。

  • AM 測定中心周波数:594kHz
  • AM 測定スパン:50kHz
  • AM 対象ラジオ局:NHK第一放送(埼玉県久喜市)
  • FM 測定中心周波数:79.5MHz
  • FM 測定スパン:10MHz
  • FM 対象ラジオ局:NACK5(埼玉県比企郡)

設置場所と測定波形(AM)

設置場所と測定波形(AM)

設置場所と測定波形(FM)

設置場所と測定波形(FM)

測定結果のまとめ

測定結果をまとめると以下のようになります。

アンテナ設置場所AM電界強度FM電界強度
荷台窓際(写真1A、1F)46.8dBμV/m(波形1A)54.9dBμV/m(波形1F)
荷台(写真2A,2F)37.5dBμV/m(波形2A)49.0dBμV/m(波形2F)
後部座席(写真3A,3F)52.4dBμV/m(波形3A)56.3dBμV/m(波形3F)
助手席(写真4A,4F)56.5dBμV/m(波形4A)52.7dBμV/m(波形4F)
車外(写真5A,5F)67.5dBμV/m(波形5A)71.5dBμV/m(波形6F)

AMの場合助手席が最も好条件で、FMの場合はノイズフロアも考えると荷台窓際が最も良いと思われます。

車外と比べるとAMでは11dB、FMでは16dBほどの差がありますので、車外の電界強度を基準にする場合でかつアンテナの車内設置が必要な場合は補正処理を行うことが望ましいです。

追補–AM用ループアンテナをダッシュボード上に平置きした場合

追加実験としてAM用ループアンテナを写真6Aのようにダッシュボード上に平置きした場合を実施しました。この結果車外に置いた場合と遜色ない電界強度が得られました。(波形6A)

ループアンテナの場合磁束を測定するため、周囲に鉄製の部材が少ないほど良好な結果が得られるようです。

AM用ループアンテナをダッシュボード上に平置きした場合

製品ピックアップ

シグナルアナライザ MSA538E

EMI測定機能搭載モデル
■測定周波数:20kHz~3.3GHz

低雑音アンプ MAP301/302

放射ノイズ測定に最適。

ループアンテナ MAN120

低周波数の測定に適した直径40cmの小型ループアンテナ。LED照明の磁界放射雑音の測定やEMI測定を行うことが可能。

バイコニカルアンテナ MAN150/MAN150B

放射エミッションの簡易測定に好適。
水平と垂直偏波の放射ノイズ測定を手軽に行うことができます。

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