スペクトラム/シグナルアナライザ(MSA438E/538E/558E)による低コストで簡便なEMI見積もり
アプリケーション
低コストなプリコンプライアンスEMI試験として、スペクトラム/シグナルアナライザ(MSA438 E/538E/558E)と電波暗箱を用 いるMR2300が有用です。条件によっては、さらに低コストでごく簡易的にEMIを見積もる方法も使える可 能性があります。
ソリューション
条件
以下の条件を満たせば、通常の実験室内でもEMIを見積もることできる可能性があります。
条件 | 補足 |
---|---|
それほど厳密なEMIレベルの測定制度は必要ない | 相対的なEMIレベルとケアすべきEMI周波数の把握が主な目的であれば、試行の価値有。 |
環境ノイズがEMIリミットレベルより十分小さい。 | 測定EMIから環境ノイズを差し引いたものがEUTのEMIに相当 |
特定の周波数の環境ノイズが比較的大きくても、同周波数におけるEUTのEMIが無視できる。 | EUTのEMIと環境ノイズの切り分けに問題がなければよい。 |
EMIを見積もる計算方法
以下の計算式により、各周波数の測定データからEUTのEMIを見積もることができます。
スペクトラム/シグナルアナライザ(MSA438E/538E/558E)には、アンテナ特性やケーブル損失を自動補正する機能があり、EMI測定値Mを直読することができます。
Mから環境ノイズNを差し引く際、単位を[dBuV/m]のままではなくリニアの[uV/m]に変換してから演算する必要があります。
EUTと測定アンテナの設置高さや測定距離については、サイト試験と同じ条件にすべきです。
なお、床面反射の影響を考慮しない場合には、一定の設定自由度を設けてもよいかもしれません。例えば、測定距離2.5mとした場合には、20log(2.5[m]/3[m]) = -1.6[dB]を距離換算係数として上記EMI値に加えることで補正できます。ただし距離が近すぎると、アンテナとEUTのニアフィールドによる影響で測定誤差が大きくなる可能性があります。
議論
このEMI見積もり方法は、測定精度よりも簡便さを重視したものです。多くの製品開発現場では、それなりの測定精度でかまわないので、できる限り低コストで簡単にEMI特性を把握したいという非常に強いニーズがあり、それに対する一つのソリューションとして提案しました。
精度の高い議論をするならば、差し引き演算における位相、あるいは天井/壁/床面からの反射波の影響など、検討すべき課題は少なくありません。しかし、ハンディタイプスペクトラム/シグナルアナライザ(MSA438E/538E/558E)の機動性の高さを活かして社内で環境ノイズの小さい評価場所を見つけ、実際に試してみる価値はあると思います。必ずしも正規サイト結果と高い相関が得られるとは限りませんが、許容できる誤差範囲での相対評価であれば運用可能であるという条件を見つけられるかもしれません。
システム構成・価格
シグナルアナライザ [MSA538E] | ¥889,000 |
低雑音アンプ[MAP302] | ¥298,000 |
アンテナ及びEUTの取付用治具 | ご相談下さい |
その他(制御PC、各種I/Fモジュール、ケーブル等) | |
合計価格(税抜き) | ¥1,187,000 ~ |
※ご要望に沿った評価システムを提案します
※詳細は弊社営業担当までお問合せ下さい。
製品紹介
シグナルアナライザ MSA538E
EMI測定機能搭載モデル
■測定周波数:20kHz~3.3GHz
低雑音アンプ MAP301/302
放射ノイズ測定に最適。
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