1.目的

無線LAN(5GHz帯)を設置する為に設置場所周辺の電波環境を測定し、設置場所及び使用チャンネルを決定する。

2.無線LAN(5GHz帯)の特徴

  • 2.4GHz帯と比べてチャンネル数が多い。(14→20)
  • 2.4GHz帯に比べ、電子レンジ等が使用する周波数帯と違う為、電波干渉が少ない。
  • チャンネルが隣接していても電波が干渉し合わないため、安定した回線速度を保つことができる。
  • 高周波で電波の直進性が強いため、障害物に対して影響を受けやすい。

※設置するときにはなるべく障害物を避けた、電波が通りやすい場所を選択する。

3.システム構成

4.MSA558設定

センター周波数 [FREQ]5450MHz
周波数スパン [SPAN]1GHz
分解能帯域幅 [RBW]1MHz
ビデオ帯域幅 [VBW]AUTO
基準レベル [REFER]-20dBm
掃引時間 [SWEEP]30ms
演算 [CALC]MAX HLD (512)

※基準レベルは環境により、10dBm程度増減させる必要がある場合がある。リアルタイムで測定したい場合は演算[CALC]:NORMにする。

5.電波環境測定

測定結果
  • アクセスポイント設置フロアの四隅と中央で電波状況を確認する。但し、設置フロアの広さにより測定ポイントを増やす。(今回の測定では全ての場所で同じ結果が出た為、割愛する。)
  • 5150~5750MHzに電波が出ているかどうかで妨害電波や付近にアクセスポイントがあるのかを確認する。
  • 左側に波形が表れているが、全体的にみるとノイズフロアは低いため、発生している電波から既に使用されているチャンネルを測定し、出来るだけ避けるようにすることで問題なく設置できる。
  • ノイズフロアが高い場合は、無線LAN使用周波数全体に妨害電波が出ている。その為、MSA558の測定場所を移動しながら、妨害波レベルが大きくなる場所を見つけ、発生場所と原因を特定する。

※場所を特定する際には、MSA558の設定を演算[CALC]:NORMにし、データをスキャン毎に更新するようにする。また、可能であればその妨害電波が出ない様に対策し、無理な場合はその場所からなるべく離れた場所に設置する。
但し、妨害電波がアクセスポイントの出力レベルよりかなり低いレベルであれば、通信に影響は無いと考えられる。

6.設置チャンネルの決定

  • 電波環境の測定により、妨害電波が出ていない周波数帯域を確かめ、チャンネルを決定する。
  • [5]の測定で電波が出ていた周波数帯域については、出ていた電波のセンター周波数と周波数帯域から、どのチャンネルが使われているのかを確認する。
  • チャンネルと周波数の関係については下記の表を参考にする。
表:IEEE802.11a/n/ac/ax(5GHz)
規格チャンネル周波数帯域屋外利用
J5234、38、42、46ch5150~5250MHz×
W5236、40、44、48ch5150~5250MHz〇 ※2
W53 ※152、56、60、64ch5250~5350MHz×
W56 ※1100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144ch5470~5725MHz

※1)

  • W53、W56は気象レーダーとの干渉を避けることが義務付けられており、干渉を検出した場合に回避動作を行う。それにより、場合によっては通信の途絶などが起こり得る為、注意が必要である。

※2)

  • 2019年6月より利用可能となったが、総務省により次の条件が定められている。
  • 人工衛星に影響を与えない。(上空側へ強い電波が出ない)工夫が施された専用機器を利用する。
  • (「5.2GHz帯高出力データ通信システム」の技術基準適合証明書等を取得した機器)
  • アクセスポイント及び中継器については、事前に総合通信局に「登録局」の手続きが必要。
  • 気象レーダーに影響を与えない場所(詳しい場所は総務省のHP参照)でのみ利用可能。
測定結果
表:MSA558の設定
規格J52、W52W53W56
センター周波数[FREQ]5.2GHz5.3GHz5.6GHz
スパン周波数[SPAN]100MHz100MHz500MHz
分解能帯域幅[RBW]1MHz1MHz1MHz
ビデオ帯域幅[VBW]AUTOAUTOAUTO
基準レベル[REFER]-20dBm-20dBm-20dBm
掃引時間[SWEEP]30ms30ms30ms
演算[CALC]MAX HLDMAX HLDMAX HLD
測定結果【J52、W52】
  • 様々な電波や妨害電波が見られる為、他の規格のチャンネルを設定する。
  • 発生している電波や妨害電波を、特定、対策することでチャンネルを選択できるようになる可能性がある。
測定結果【W53】
  • ノイズフロアが低く、他の電波や妨害電波も見られない為、チャンネルを自由に選択できる。
測定結果【W56】
  • W53の場合と同様で、ノイズフロアが低く、他の電波や妨害電波も見られない為、チャンネルを自由に選択することが出来る。
  • ノイズフロアが僅かに高くなっているが、通信に影響は無いと考えられる為、問題なくチャンネルを選択できる。

製品紹介

シグナルアナライザ MSA558

8.5GHz帯域により無線系情報通信のほとんどのアプリケーションをカバー
■測定周波数:20kHz~8.5GHz

ポータブルアンテナ

低VSWRにより、各種無線機器の送受信用途に最適。
半波長ダイポールアンテナと同様の特性。

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